遺言書の作成を決断される方の中にはこのような方がいます。

「自分の親に遺言書を書いてもらえてとても感謝している。だから自分も書こうと思う。」

そこで「なぜ感謝しているのか」、話を聞いてみました。

1.親の財産、何があるか分からなかったから遺言書に財産が書いてあって助かった。
仕事で忙しかったので助かった。

2.親名義の家に住んでいたから遺言で家を継がせてもらえて良かった。
自分から兄弟に「自宅が欲しい」とはなかなか言い出しにくかったので。

3.兄弟が海外にいる。遺産の話し合いに時間がかかりそうだったからありがたかった。

4.母親は認知症だったから父が遺言書を遺してくれていた。
遺言が無かったら名義変更の手続きが大変だったと思う。スムーズに手続きができて助かった。

この4つのケースについてお話しします。

1.親の財産、何があるか分からなかったから遺言書に財産が書いてあって助かった。

まずは亡くなった方の葬儀や役所の手続きなどしていきます。
その後は亡くなられた方の遺産は何があるのか調べていきます。
・不動産・預貯金・現金・株式・保険など。

亡くなった方から事前に聞いていなければ家探し(やさがし)から始まります。

・預貯金についてはのどの金融機関に預けているのか。
・生命保険に入っていたのか。
探さなくてはいけないことがたくさんあります。
金融機関や不動産の確認などは平日に行う必要があります。
働き盛りの方は何度も仕事を休むことになり、なかなか難儀な作業かと思います。

また財産分けについて相続人同士で話し合う必要があります。
相続人の皆様が全員納得しないと話は進みません。
更に相続人も本当にこのメンバーで良いのか。実は他にもいるのかどうかの確認も必要です。

遺言書が整っていればここまでの作業はスルーして良いのです。
もちろん預貯金の解約や不動産の名義変更も、遺言書が整っていれば手続きが可能です。

ということで遺言書があればスムーズに手続きが進められるので感謝なんですね。

2.親名義の家に同居遺言で家を継がせてもらえて良かった。
自分から兄弟に「自宅が欲しい」とはなかなか言い出しにくかったので。。。

遺言書がなければ財産分けの話し合いをします。
相続人全員が納得したら「遺産分割協議書」を作成します。

多くの方の財産について不動産はご自宅のみ。預貯金は不動産の価値より少ない。
相続人が2人以上いたら「自宅が欲しい」という話はすんなり受け入れられるのでしょうか。
どう話し合ってどう分けるのか難しそうですよね。

そこを遺言書で指定してあげると自宅を譲り受けたい相続人の方は安心します。
他の相続人には「思いであふれる自宅は大事に守るからね」と宣言できます。

ということで遺言書があればスムーズに手続きが進められるので感謝なんですね。

3.兄弟が海外にいる。
遺産の話し合いに時間がかかりそうだったからありがたかった。

遺言書がなければ財産分けの話し合いをして「遺産分割協議書」を作成します。
海外や遠方の方とはオンラインで顔を見ながらお話しする便利な世の中になりました。
ですが遺産分割協議書にサインをもらうべく郵送する、時差に気遣うなど気を使います。

また遺産分割協議書には実印を押してもらいます。印鑑証明書も必要になります。
ですが、海外在住であれば印鑑証明書はありません。よって実印ではなくサインとなります。
お住まいの国にある日本の領事館などで替わりになる証明書を発行していただくことになります。

日本に住んでいる方は上記1番のように相続財産や相続人の確認のほかに
こうした調整事も主導して行わなくてはいけないことが分かります。
やり取りが思うように進まずヤキモキすることもあるでしょう。

ということで遺言書があればスムーズに手続きが進められるので感謝なんですね。

4.母親が認知症になり、判断能力が乏しくなってしまった。
遺言が無かったら名義変更の手続きが大変だったと思う。

遺言書がなければ財産分けの話し合いをして「遺産分割協議書」を作成します。

この話し合いは意思能力がないと行えません。
成年後見人の手続きを裁判所で行い、成年後見監督人も選ばれることがあります。
この手続きには1か月以上かかる場合があります。
そして成年後見人が決定したら遺産分割協議に同席してもらい話し合いを行います。
はほぼ法定相続分をお母様に。と請求します。

更に成年後見人が選ばれたら認知症のお母様は亡くなるまで成年後見人のお世話になることでしょう。
毎年成年後見人にかかる費用を請求されるというわけです。

ということで遺言書があればスムーズに手続きが進められるので感謝なんですね。

まとめ

遺言書の必要性、

・しっかり継がせたい人に継いでもらえる。
・相続人の皆さまが労せずして亡くなった方の財産を把握できる。
・相続人の皆さまが労せずして財産を受け取れる。(遺産分割協議が不要)

というスムーズに手続きが進められるということなんですね。
相続人の皆さまの労力を心身軽減できるので感謝もされます。

大事な人への心配りとして遺言書を書いてみませんか?

尚、上記は相続人の皆さんが争うことなく受け取られた事例です。
遺言書の書き方によっては揉めることもあります。遺言書を作成されるときにはご相談ください。

当事務所では遺言作成支援のご依頼をいただいた方には現時点での財産把握のお手伝いもしています。
もちろん保険証券の確認も行っています。
既に期限が切れてしまっている保険もありますのでこの機会にチェックしていきましょう。


※当事務所では1級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を保有していますので
中立的な立場から色々とお話しできます。どうぞ行政書士イワクラ事務所をご利用ください。

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「遺言を書いてもらって良かった人」のケースから見る遺言書作成の必要性” に対して1件のコメントがあります。

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