みなさんこんにちは。行政書士イワクラ事務所です。
先日講習会で遺言作成についてお話しさせていただく機会がありました。
講習会の最後にこのようなご質問がありました。
「エンディングノートを書いているんだけれどもこれで名義変更の手続きはできる?」
結論から申し上げますと今回のご質問者様の場合、手続きはできません。
ノートに「誰に何を託したい」ということは記載してありましたがあくまでも「願い」です。遺産については遺産分割協議書をもって名義変更などの手続きが行われます。そのために分け方について相続人の皆さま全員で話し合うことが必要です。
エンディングノートにはこのようなことを記載する欄がありました。
・過去を振り返る
・今後体験してみたいこと
・亡くなったときに知らせてほしい人の連絡先
・お持ちの財産
・ご希望
これらの内容は遺された方が見るととてもありがたい情報です。
亡くなられたときにお通夜、葬儀を執り行うときに誰に知らせたらよいのか
迷います。
またお持ちの財産についてもお知らせいただいていれば家探ししなくても済みますのでとても安心です。
ですがこのノートをもって遺言だからと手続きを進めることはできません。
もともとエンディングノートは遺言書代わりになるものとして製作されたものではありません。
あくまでもエンディングノートは遺言を書くための準備、そしてご家族が把握するためのものとしていただきたいと思います。
自筆証書遺言については改めて記事にしていきたいと思いますが内容としては最低限下記3点がないと遺言書として認められません。
・記載した日付
・遺言を書いた人の名前
・押印
また遺言書は封筒に入れて封印していただくことをおすすめしています。
誰でも見られる状態になっているということは誰でも書き換えられる状況に。
内容に納得しない相続人は書き換えてあってもなくても「誰かが書き換えたのでは?」と。揉める原因とならないようにしてください。
さらに自筆証書遺言は家庭裁判所にて検認をしてもらうという作業があります。
裁判所以外で封筒を開けないように。と民法にも記載があります。
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
よってエンディングノートに「亡くなったら誰に葬儀の連絡をしてほしいのか」という内容も含めたものを遺言書として書いた場合、葬儀が終わってから開封することになるのでご希望がかなわず残念なことになります。
そもそもエンディングノートを自筆証書遺言として検認出来たことがあったのか調べてみましたが見つけられませんでした。
こちらをご覧になった皆さまでご存じの方がいたらお知らせください。
何度も申し上げますがエンディングノートは遺言を書くための準備、そしてご家族が把握するためのものとして使っていただければと思います。
行政書士イワクラ事務所では遺言書作成の支援をご依頼いただく場合、ご希望者様にはエンディングノートの作り方についてもお知らせしています。お気軽にお問い合わせください。